恵那市坂折棚田保存会は、坂折棚田地域において棚田オーナー制度による都市住民の農業体験、小中学校の生徒や企業の社員の農業体験、さらには石積み塾開催や各種ボランティア作業をとおして、棚田農業の意義と魅力を探るとともに坂折棚田を中心とした里山の保全に努めてきました。
棚田の持つ多面的機能が見直されている今日、専門の石工集団が築いたとされる石積み棚田の保全と、棚田地域の農業の活性化が今後の大きな課題と考えます。
具体的には、遊休農地や耕作放棄が予想される農地を活用した棚田オーナー制度の拡大及び棚田トラストの導入などによる棚田の保全、都市住民が里山での各種体験を通して食や環境について学ぶ場の提供、棚田ブランドの開発による棚田地域農業の活性化、さらには、都市住民との交流を深める各種イベントの開催などを推進する必要があります。
これらを総合的にとらえ、各種事業を推進するために法人格を取得する必要があり、特定非営利活動法人恵那市坂折棚田保存会を設立することとなりました。
今後、地域住民、恵那市民、都市住民が参加・協力する中で、棚田を中心とした里山の環境保全を進めながら地域の活性化を促し、生き生きとしたまちづくりを進めていくこととします。
名称 | NPO法人 恵那市坂折棚田保存会 |
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所在地 | 〒509-8231 岐阜県恵那市中野方町782-1 |
電話番号 | 0573-23-2032 |
FAX番号 | 0573-23-2032 |
代表者 | 田口 譲 |
設立年月日 | 平成20年11月6日 設立 |
活動内容 | 1.棚田の景観保全 2.都市農村交流 3.棚田ブランド開発 4.文化伝承 |
・坂折棚田石積み塾
・棚田ビオトープ
・棚田体験学習
・坂折棚田「なごみの家」等管理及び運営
・耕作放棄地復旧
・棚田通信の発行(季刊)
・棚田オーナー制度
・棚田コンサート
・棚田フォトコンテスト
・棚田米販売
・農産物販売
・歴史、民族講習等研修
優れた石積み景観の坂折棚田の保全と自然豊かな里山の保全に取り組むこととし、棚田オーナー制度や棚田トラストなどの実施により都市住民の参加を促し、地域住民との共同作業による棚田地域の農業の継続を通じて棚田の保全を図るとともに、各種の交流事業及びボランテイア活動よる里山の環境保全を進めます。
また、都市住民等との交流拠点及び棚田・里山文化の伝承拠点として、棚田地域内の旧「本柘植家」を『坂折棚田「なごみの家」』として整備を進め有効活用を図ります。
保存会が目指す方向としては、遊休農地及び今後耕作放棄されることが予想される農地を活用し、最近高まっている社会的な自然回帰、農村回帰に呼応し、都市住民との交流を促進し、体験から半定住、定住に繋げ、地域の活性化を図ります。
新たに組織された地域協議会との連携により、農地の保全、地域活性化、環境保全等のまちづくり事業を推進し、中山間地域の活性化を図ります。
耕作者の高齢化や後継者不足が深刻化するなか、坂折地区で、農用地総合整備計画による区画整理の地元説明会が開催されたのは平成6年度のことです。その後。事業の具体化が図られ、地区計画の樹立申請・決定、そして平成9年3月には国による事業実施方針が決定され、坂折地区が整備の対象となりました。棚田の整備・保全をめぐっての論議がされるなか、優れた棚田景観を有する本地区の記録保存を図るため、平成9年度から平成10年度にかけて京都大学の金田章裕教授の指導を受け、水田の現状とそれに関わる歴史・民族資料の調査を恵那市教育委員会が実施しました。また、信州大学の木村和弘教授により、坂折地区の石積棚田の荒廃化とその対応策についての研究がされました。
こうしたなか、平成10年度に創設された棚田地域等緊急保全対策事業での整備を希望する農家も出てきました。そこで、平成11年6月に坂折地区全体を対象とし、事業の具体的な実施設計をおこなう上で必要な整備方法や保全方法等を、学識経験者のアドバイスを受け全国的な事例を参考にしながら検討をするため、早稲田大学の中島峰広教授を委員長に選任し、地元農家、自治会、学識経験者からなる「恵那市坂折地区の棚田に関する整備・保全構想検討委員会」を設置しました。そのなかで、棚田に関しての調和のとれた整備及び保全をおこなうため、当該地区の農家の意向を把握し、中山間地域の農業振興及び地域づくりを踏まえて、棚田の整備・保全の方策及び利活用について検討され、平成12年3月に「恵那市坂折地区の棚田に関する整備・保全構想」が答申されました。恵那市は、その答申を踏まえ、本地区の地形条件、農家の意向を基本としたゾーニングをおこない4つのエリアに区分し各種事業を実施し、全国にもあまり類を見ない「棚田の整備・保全」に取組んでいます。