棚田は、ただ米を生産する場だけでなく、自然環境の保全の役割も果たしています。棚田で農業を継続することにより、私たちの生活に色々な『恵み』をもたらしています。洪水や土砂崩れを防ぎ、生きものの命を育む恵みを「棚田の多面的機能」と呼んでいます。
棚田に利用される水は、水源の森に浸みとおって地下水となり、質の良い水として坂折川地域で利用されます。
傾斜地を利用して作られる棚田は、農作業で日々の手入れを行うことにより斜面が崩れないように、いち早く補修をすることができます。
棚田に張られた水が雨や風の影響をやわらげ、土の流出や土ほこりを抑えます。
棚田に一時的に貯めた雨水を地下に浸みこませ、時間をかけて川に戻し、川の水量を安定させます。
棚田は雨水を一時的に貯めるダムとしての役割もあり、下流にゆっくりと流し、洪水を防ぎます。
それ以外にも、多様な生きものを育み、美しい棚田の風景は、私たちの心を和ませてくれるなど医療・介護福祉との関わり、環境保全の体験学習の場としても大きな役割を果たしています。
こうした棚田の恵みは、お金で買うことのできないものであり、棚田の持つ様々な恵みを思い、棚田の自然環境を支えていくことが必要です。