ブログ『棚田物語』

10/3 棚田オーナー 最終作業、稲刈り&稲架かけ更新日:2018年10月12日

9/29・30の二日間に予定されていた『稲刈り作業』。
少雨なら決行のはずが、大きい台風という予報のため、残念ながら、前日に延期決定となってしまいました。
「29日は雨だけだから稲刈りできるのでは?」という意見もありましたが、折角苦労して稲架掛けしても、翌日台風で倒れてしまったら大変なので、やはり断念。
坂折棚田オーナー制度13年目にして初めての稲刈り延期となってしまいました。

 
今年は夏の暑さで生育が早かった上、秋になって雨が多く台風が多いという異常気象だったため、場所によっては倒れてしまっている稲もちらほら。
米の部分が水に浸かってしまうと「芽が出てまう!」と言われ、稲刈りを延期できても数日という状況でしたので、延期日程は10/3水曜日。
平日のためご参加いただけなかった方が多数となり、天気都合とはいえ、申し訳ございませんでした。
ご参加いただいたのは17組の方々。急な予定変更にも関わらずご参加いただき、ありがとうございました。

 

いつも大勢の仲間でご参加いただいている『行って来たなだ隊』も、この日ばかりは2人で作業。3区画という広い場所を頑張って稲刈り+稲架掛けしていただきました。筋肉痛大丈夫でしたでしょうか??

 

過去に来た台風の影響に加え、雨続きで地面の乾く時間のない日々が続いていたため、田んぼの中は『田植え?』と間違うほどのグチャグチャ状態。長靴はあっという間にドロドロ。泥に埋まった長靴を引き抜くのも一苦労です。「田植え足袋でやった方がよかったかも」なんて声も出ていました。

 

手慣れた様子で稲を束ねているオーナー様を発見。
確認するとオーナー歴8年目の方でした。
何年もお手伝いいただいているからお上手なんですね。

 

欠席されたオーナー様の田んぼの稲刈りも行うため、手刈りでは追い付かず、この日は文明の利器も登場しました。
稲を刈り取り、ある程度でまとめて麻ひもが自動で束ねてくれるバインダー。あっという間に刈り取られ、まとまる稲の束・束・束!地道に手刈りしている方々を見た後にこの機械を見ると、「この機械が発売されたときは、画期的だったに違いない!」と思わずにはいられません。

 

といってもこれは『30年以上前』の機械なのだとか。
古くても、今も各家で大事に保管されている理由は、メンテナンスすれば30年使い続けられる昔の機械ならではの丈夫さと、棚田にぴったりの小型サイズの機械だからなのでしょうね。

 

田んぼ作業の機械化が進んだのは昭和40年代と言われています。
70歳代の地主さんは「子どもの頃は牛を引いて田んぼを耕した」と話されていますが、
60歳代の方では、成人されてから今まで、ご自宅では手刈りすることも稲架かけすることもなかったと聞きます。
 

そんな60歳代のスタッフのお1人が、当たり前のように稲架を作り、ワラを腰に巻いて作業をしていました。

やったことがないのに、何故できるのかと聞いてみると、
「子どもの時に親父がやってるのを見ていたから、やり方は分かるよ」という返事。
教えられた訳ではないのに、親の背中を見て子は育ち、技術も受け継がれて来たのですね。

 

今回、唯一参加していただいた子どもさんは今5歳。
1歳の赤ちゃんの頃から坂折棚田へ来ているそうです。
坂折棚田の美しさに魅せられてオーナーとなって下さったお父さんお母さんの想いもこの子に受け継がれていくのでしょうか?
この子が大人となった未来にも坂折棚田の美しい風景が残っていることを願う一方、厳しい現実もありました。

 

参加できなかったオーナーさんの田んぼの稲刈り作業を自力で行うこととなった地主さんたちですが、80歳を越えたおじいちゃんは「オレ一人じゃとても終わらん」とのこと。
結局、他の地主さんが手伝って稲刈り・稲架掛けを行いました。
ただ、手伝っている人もよく見れば70代のおじいちゃんたちです。
3年後、5年後、誰がこの田んぼを手伝えるのか?と思うと、オーナー様のお力あっての棚田、景観保全なのだと改めて感じます。
今年の田んぼ作業は稲刈りで終了となりますが、来年以降も是非お力を貸していただければ幸いです。

 

余談ですが、保存会会長の田口は80代半ばに差し掛かっても元気いっぱい。バインダーを自分で操って作業していました。まだまだ現役です。

   
 

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